■
六鱗優良魚審査所見
Ⅰ 容姿について
- 総体的にみて魚体が長い・短いではなくて容姿がバランス良くととのい、気品あるものを良とする。
- 泳姿は淀みなく遊泳して、どちらの方向にも自由自在に無理なく尾を振り切って泳ぐものを良とする。
- 静止時には、その姿は平衝であり、頭が下にのめり込んだり、頭が水面に浮いてきたりしないもの。
- 泳ぎについては、尾の振れる分だけは確実に進み、頭部が大きくふれたり、体がその度毎に傾いたりしないもの。
- 静止した瞬間、両尾を小きざみに上下に振り、次の躍動への準備をするような尾味を見せる魚はもっとも優良といえる。
Ⅱ 頭について
- 口吻の赤は大きくつけたものは見にくく、小さく含みにまとまっているものを良とする。
- 目先の寸法は、長く突出して魚体全体を気品よく見せる働きをするものが望ましい。
- 飼育によって目の出ている魚もあるが、これは品悪く見せてよくない。
- 奴に仕上げるのは減点とはならないが、正しい位置に全体のバランスを妨げない大きさにしたいものだ。
- 頭全体が左右に曲がっていたり、口吻が横を向いていたり、両眼が前後にずれている奇形はよくない（全体のバランスを考え強度の場合は除外）
- エラ蓋はよく引き締まって体に密着しているものを良とする。
Ⅲ 胴について
- 上から見た場合は笹葉形になって左右ラインが対照のものが良い。
- 背腰のラインは一彎曲線であることが望ましい。
- 胸鰭筋の肥大によって滑らかな笹葉形を阻害したものは良くない。
- 尾筒は太く、遊泳にさいして尾振りを助けるものであること。
- 体色はすべて白であることを良とするが、腹部の上から見て隠れる部分であれば許される。
- 腹のラインは、よく尾筒までつまり彎曲をえがいて笹葉形を保つものが好ましい。
- 背鰭の後ろの尾筒ののびは、らんちゅうと同じく良くない。
- ウロコ並びは正しく、乱れのないものを良とする。
Ⅳ 尾について
- 左右すべて対照なものでなくては良くない。
- 尾芯の開きの角度は大きい駒形を良とする。
- 特に下尾の先は遊泳中、波風を合わせて同位置であってほしい。
- 尾の色は赤一色で、尾先まで赤であることが条件であるが親魚では多少の尾先色抜けも許されるが、大きく赤が抜けているものは減点となる。
- 尾質は尾先の方を柔らかく弾力を持って遊泳を助けるものがよい。
- 各親骨の赤が皆無なのは審査外である。
- 上尾の開きと下尾の開きがあまりにも違いすぎるのは良くない。
- 尾の大きさは魚体とも調和した大きさを理想とし、大きすぎて泳ぎの味を阻害するものは良くない。
- 尾先のまくれのあるものは除外となるが、尾先が内側へ巻き込む場合は減点程度で許される。
Ⅴ 各鰭について
- 各鰭とも色は全部先まで赤がつまっていなければならないが、親魚では多少の色抜けも許される。
- 各鰭の親骨に色の無いのは審査外である。
- 鰭の付け根の部分の脱色は、大きくなければ減点とはならず、むしろ背鰭にいたっては根本部分が白く抜けたものの方がすっきりと気品のでるものである。
- 背鰭は正しくはった魚を良とし、親骨の曲がった若さの保てないものは良くない。
- 揖鰭（かじびれ）の二本は左右接近して垂直平行なものを良とする。（一本揖除外）
- 遊泳中または静止中に、その揖鰭が不均衡のために横にはみ出して見えるのは減点となる。（はね揖（びれ）をも含む）
六鱗保存会平成二年度会報誌『六りん』２０頁～２２頁